リスボンレポート 2013年6月 その5 【Casa do FadoはしごシリーズAlfama編】

Fado Maior
 はしごシリーズ最終日はAlfama編。なじみのFado Maiorへ。内容に関しては昨年のレポートを参照していただくとして、今年はなぜかLuís de Castro会長が妙にじゃれてくる。同行者に「こいつは悪いやつだ。すごく悪い男だよ」とけしかけてきたので「あなたを見習ってね」と返すと、「俺は評論家だから歌わないし弾かないよ。でもお前はファドを知っているしファドを弾ける。俺を見習って歳をとった男はファドを知っていたとしても弾けるようにはならないよ」とほめているんだかなんなんだか。あと「お前、昔の写真じゃ髪の毛あるのにな」とか。10年経てばそうもなります。最後に「次に会うときには髪の毛全部なくなってるかもな」と言われたのは、そうなる前に小まめに会いに来いということなのかもしれません。

住所:Largo do Peneireiro,7

Mesa de Frades
 次に向かったのはMesa de Frades。小さな教会を改修した新しい店で、ここ数年出演者の豪華さと、それなのに高級店ではないということで知られています。着いた時には演奏中。入り口の大きな扉のすぐ中で演奏するので、歌がいったん終わった際に外にいるスタッフが明かりの点滅で客が来たことを中に知らせ、出演者の間をすみませーんと通って入店します。
 この日歌っていたのはJoão Braga御大。歌が実にソフト。立ち見をした後ろにいた玄人っぽい女子に「彼はもう”Arraial”歌った?」と聞くと「まだ」と。重ねて「”Embuçado”は?」と聞いたら「それもまだ。あなたリクエストしなさいよ」と言われましたが、さすがにそれはやめときました。私が入ってから4曲で終わったので、客席にいた顔見知りたちに会釈をして次へ。時期的にコンサートイベントが多いので、伴奏者がスペシャルではなかったのが残念でした。これまではこの店で、ファディスタならCarminho、ギタリスタはRicardo Rocha、Ricardo Parreira、Ângelo Freire、ヴィオリスタはJaime Santos Jr.なんかを聴きました。

住所:Rua dos Remedios 139a

Tasca de Xico Alfama店
 最後のダメ押しでTasca de XicoのAlfama店へ。Bairro Altoで人気店になったFado Vadioの支店です。ギタリスタはFlávio Cardoso、ヴィオリスタはその息子。父ギタリスタ、子ヴィオリスタというのは昔からよくあるパターンで、先ほどから話題に上がっているJaime Santos親子、そしてFrancisco CarvalhinhoとJosé António Carvalhinhoの親子などが有名です。そのためか、同じ楽器同士はひと世代飛ばした祖父と孫の関係がよく見られます。
 Velho Páteo de Sant’Anaにもちょいちょい出演している美人ファディスタMaria Emilia ReisがFlávio息子とじゃれているのになごみながら引き上げました。だいたい2時半ごろ。帰り道はまだまだお祭りの最中で盛り上がっていました。

住所:Rua dos Remédios 83